飯豊町に斜面変動検知センサーを設置

 昨年8月に甚大な豪雨災害が生じた飯豊町における事後研究・地域防災・防災教育を目的に、8月22日(火)に、飯豊中学校裏の丘陵斜面に地すべり・崩壊検知センサー(傾斜計・雨量計)を設置しました。今秋の台風・秋雨シーズン、および冬季〜春季の降雪・融雪シーズンを通じて斜面変動をモニターする計画です。今後の地域防災や防災教育に役立てたいと考えております。また、万が一の大雨のときには斜面崩壊の発生を事前・直前に察知できる可能性があります。なお、設置場所の選定にあたっては、昨年の豪雨で斜面崩壊が生じた住民に身近な場所であることと、観測機器の管理の容易さを考慮しました。崩壊の危険性がとくに高い場所ということではありません。

 この企画は、山形大学災害環境科学研究センター・中央開発株式会社・飯豊町・いいで農村未来研究所の共同企画です。観測機器・通信システムは中央開発株式会社により無償提供され、設置作業も中央開発株式会社により行われました。

【観測システムの特徴】

 大雨などにより斜面の表土層や岩盤がゆるんで傾いたり亀裂ができたりすると、そのわずかな変動(角度の変化)を傾斜計(感太郎)がとらえます。計測されたデータは通信システムからインターネット経由で送信され、記録・グラフ化されて、モニタリングWebサイト(下記)に表示されます。このWebサイトを閲覧するにはIDとパスワードが必要になりますが、飯豊中学校の関係者や飯豊町の地域住民の方々を対象に公開される予定です。通常、斜面変動モニタリングデータは専門の業者や研究者しか利用できませんが、今回は、地域の方々が、大雨などで生じる斜面変動の様子をリアルタイムで見られるようにするという点で新しい取り組みとなります。

 モニタリングWebサイト:「双方向遠隔自動監視システム観測王・中央開発株式会社・山形県飯豊町崩壊斜面監視」

【管理基準値や警報について】

 モニタリングWebサイトのグラフには「警戒レベル1」・「警戒レベル2」・「警戒レベル3」の3段階の警戒レベル(管理基準値)を表示しています。これら管理基準値は、今まで崩壊を検知した実績に基づいて設定していますが、極めて安全側の値(余裕がある値)です。つまり、これらの管理基準値を超過しても直ちに崩壊が発生し危険な状態であるというわけではございませんので、あくまでも目安(参考値)として認識していただければと思います。

 なお、これらの管理基準値を超過した際には、あらかじめ登録したメールアドレスへ通知する機能がありますが、今回は関係者のみへの通知設定をしております。そのため、住民の皆様の携帯電話に緊急速報のエリアメールが届いたり、現地にてサイレンが鳴ったり、防災無線で連絡がいくようなことはありません。


 観測機器については次のWebサイトで紹介しております(これらはモニタリングWebサイトではありません)。

 傾斜計「感太郎」:リンク(ここをクリック)

 通信システム「観測王」:リンク(ここをクリック) 


【報道】

 設置作業の様子については、新聞やテレビで報道されました(以下Webサイトへのリンク)。

2023.8.23 山形新聞「飯豊中裏山にセンサー 町など設置 斜面変動感知し公開」

2023.8.23 読売新聞「飯豊の斜面に傾斜計設置 山大など 土砂崩れ対策で」

2023.8.24 河北新報「地滑りを事前に検知 山形大が飯豊町内にセンサー設置」

2023.8.22 NHKニュース番組やままる「飯豊町 土砂災害の兆候を検知するセンサー設置」

2023.8.22 山形放送YBC news every.「去年の8月豪雨受け 地滑り検知センサー設置 山形・飯豊」

2023.8.22 さくらんぼテレビNewsイット!やまがた「山大研究センターが設置 飯豊町に地すべり検知センサー」


【問い合わせ先】

 この件についての問い合わせ先メールアドレス:山形大学 本山 功(i-motoyamaアットマークを挿入sci.kj.yamagata-u.ac.jp)

山形大学災害環境科学研究センター

山形大学 災害環境科学研究ユニット (山形大学 災害環境科学研究センター)

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